演歌、歌謡曲の定義を今一度考えてみる。

以前、演歌を作ろうとしたときに、「演歌」でネットで検索してみたところ、

・歌手が和服を着て歌う。

・男と女の恋の歌や、漁師の生き様、酒場の人間関係などを描いている。

・北国、港、船、女の涙、未練、酒場、などの言葉が多く用いられる。

このような、あまり音楽的でないようなモヤっとした定義しか出てこなかったのです。

そして、今私の周りのお客様が必要としているのは「演歌、歌謡曲」なのです。

それは彼らの年代が50代60代70代が多いと言うこともあるけれど、

大事なのは「歌いやすい、覚えやすい歌」と言うことではないかと思うのです。

具体的に言うと、

音域が広すぎない。

無駄な転調がない。

複雑なコードがない。

複雑なリズム(16部音符とか、シンコペーションとか)がない。

出だしが簡単(裏で入るとか、がない)

メロディーが取りやすい(コードにない音とか、1番と2番でリズムが違うとか、歌詞のイントネーションと違う動きをしているとか、がない)

「ないない」構文になってしまいましたが

逆に言うと、今のJ-Popと言われる物は、↑これが多すぎるのです。

要は、自分で歌うシンガーソングライターやバンドは、ついこういう難しい技を使ってしまう。

今の40代以下、カラオケが遊びの一環として当たり前にあった世代は、細かいリズムとかシンコペーションとかが割と普通にできるのですが、

後からカラオケを知った世代は、なかなか追いつけない。

だから、50代以降の大人世代が歌いやすい歌と言うのは、その辺を踏まえて書かなければいけないのです。

私が最近レッスンをしている人たちは、60代以上の人が多いので、

彼らが歌いやすいように、ということをいつも念頭に入れてメロディーを作るようにしてます。

どういうところで音が取りにくいと感じてしまうのか、

どういうところが曲が覚えにくいところなのか、

そこを踏まえつつ書くと自然に歌謡曲ぽくなる気がします。

そしてこの歌謡曲の良いところは、

曲が覚えやすくて、歌いやすいから「歌う人の表現が出しやすい」と言うところです。

メロディーの音階やリズムを少し崩して歌ったりしても成立するのです。

気持ちが入りやすい、とも言えます。

そう、歌う人の身になって、曲を作るのは、作曲家の使命だと私は思います。

自分の歌う曲として作るのとはまた別のものです。

そして少ないコード、狭い音域、単純なリズムでも表現できるように、

しかも覚えやすく、耳に残る曲にする。

それがプロとしての技量なのでしょうね。。

まだ勉強中です。。。

7年前に作った熟女世代。この辺りから歌謡曲を意識し始めたかも。

投稿者: 作曲家・歌手 芽亜利J

シンガーソングライターとして28年の活動の中で、他の歌手への楽曲提供や、映画音楽、よさこい演舞曲、企業様のPRソング、個人のアニバーサリーソングなど500曲以上の楽曲制作実績がある。2021年秋に劇場公開映画「ぬくもりの内側」挿入曲「今でも胸に」を提供。

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