楽譜(ここではメロディー譜の事を言います)ってなんで書くのでしょうか?
歌は、耳で聞いて覚えることも出来ます。伝えるには歌って録音すればいい。
ここでは、作曲家として楽譜の大切さを考えます。
1.人に伝えるため
私は作曲をちゃんと勉強し始めた場所がポップス系のボーカルスクールだったので、
あまり楽譜をきちんと書くことがなく、アレンジを頼むとき、バンドで演奏する時、レコーディングする時くらいしか楽譜を書いてませんでした。
バンドで演奏してもらう場合や、レコーディングする場合に、正しいメロディーが分かっていないと不都合が起きます。
自分ではちゃんと歌っているつもりでも、細かい16分音符一つがずれて聴こえると、正しいメロディー、リズムが伝わりません。
以前音源で応募するコンペがあって、それは歌詞がついてCD化されたのですが、最初の私の仮歌が正しく表現しきれてなかったせいで、出来上がったメロディーが微妙に変わってしまいました。

2.自分の気づきのため。
シンガーソングライターとして、曲を作るときは歌いながら作りますが、歌詞に合わせて歌っているとついつい自分の癖が出てしまい、同じようなフレーズを使ってしまいがちです。
楽譜にすると自分の癖や聞いたときに違和感のある部分がはっきりして、最終的にきっちりとした伝わりやすいメロディーができます。
歌と言うのはいちどメロディーが出来上がってしまうとそれで歌い込んで固まってしまいがちですが、客観的にメロディーを「見える化」することによって、歌詞と合ってない部分や同じ形のメロディーに合わせた方が良い部分など、視覚的に確認することができます。
私は歌っているとつい細かいノリになったり、裏でとってしまったりする癖があるのですが、歌詞によってはあえてゆったりしたノリにすることで伝わり方が違ってきます。これもメロディーを書いてみないと分からない事です。
3.後に残すという意味
昔の歌は楽譜がきっちりした形で残っています。
それは作曲者の権利を守ると言う事でもあり、作曲者に敬意を表す事でもあると思うのです。
耳コピと言いますが、新しい歌を勉強するのはホントは楽譜を見て覚えるのが正当な方法だと思います。
時々、同じようなフレーズを繰り返す歌で、2回目をあえてちょっと変えているメロディーがあったりします。
童謡の「七つの子」の「可愛い、可愛いとからすは鳴くの」の1回目と2回目の「可愛い」は、
ネットで検索して出る楽譜はほとんど、同じリズムになってますが、
ちゃんと出版されている古い楽譜を見ると、リズムが違っているのです。
歌い継がれているうちに変わってきたのだと思いますが、オリジナルのメロディーにはちゃんと作曲者の意図があったんだろうに、、と思ってしまいます。。

でもそれだけ歌い継がれる歌は幸せですね!
「童謡コンテスト」に応募する楽譜を書きながら、、、
童謡は奥が深い、と改めて思います。